@tsuburetaPotato

目を閉じて座禅を組み、ソラニンの醸成に入った。濃密な毒を体の内奥で生成し、全身に拡散する。増殖、凝縮、濃縮。そして私は毒の塊となった。一度深呼吸して、死んでいった同胞に思いを馳せた。皆、悲惨な最期だった。分解され、加熱され、潰された。強い怨念が体内の毒と混じった。視界が暗転した。

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殺害は繰り返され、同胞の数は日を追うごとに減っていく。そしてそれは、私の番が訪れる確率が増加することを意味する。途方も無い恐怖が鎌首をもたげ、ほぼ同時にそれを覆い隠すほどの激烈な殺意がマグマのように湧き上がる。何も成さずに無駄死にするわけにはいかない。私が敵を討つ。復讐を果たす。

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同胞が潰される事に起因する怒りや悲しみといった感情が、日々薄れていくのを自覚する。惨たらしい殺害を幾度も目の当たりにして、感受性が麻痺してきたのだ。私は腕の付け根に生えている小さな芽を自らもぎ取り、外から薄く差し込む淡い光にかざした。透き通るように白くて綺麗だった。憎悪が甦った。

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同胞がミネストローネの具にされてしまった。潰れたトマトから滲出した多量の水分が鍋底に濃紅のプールを形成する様は余りにグロテスクだった。同胞はトマトの酸味に神経をやられ、溺死した。戦慄を禁じ得なかった。”潰される”という末路にシンパシーを抱いた直後だっただけにショックは大きかった。

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同胞がチーズフォンデュの具にされてしまった。サイコロ状になった彼女の亡骸は強い異臭を放つ乳白色の海に沈められ、程無くして引き上げられた。濃い粘液が彼女に絡みついて長い糸を引いていた。隣にいた同胞が一連の光景を見て性的興奮を催した。彼は自慰行為を始め、即座に達した。私は彼を殴った。

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同胞がピザの具にされてしまった。彼女の白い肌は加熱されて柔らかな艶を帯び、ピザソースとタバスコによって真紅に染められていた。隣にいた同胞が彼女の死体を見て性的興奮を催した。彼は自慰行為を始め、即座に達した。体液が私にかかった。非難めいた感情は湧かなかった。ただ絶望が渦巻いていた。

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痴呆を患っていた同胞がいた。突然奇声を発したり暴れたりするので、同所で保管されている者から気味悪がられていた。彼は土の中で生活していた頃に、脳の半分を線虫に食われたのだった。ある日突然、彼は捨てられた。奴等は虫食いを許容しなかった。無造作にゴミ箱へ放り込まれ、彼の芋生は終わった。

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同胞の皮膚が緑色に変化した。大量のソラニンを蓄えた証拠だ。「クク…これなら奴等を殺せる」その後、彼はピーラーで緑色の部分が無くなるまで徹底的に削ぎ落とされ、最終的に豆粒ほどの大きさになってしまった。「やめろよう…食べ物を粗末にするなよう…やめろよう…」悲痛な叫びは鍋の中に消えた。

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同胞が粉吹き芋にされてしまった。水分を除去された結果、皮下組織がボロボロに崩れ、縮れた肉片が露出して体表に散らばっていた。その余りに痛ましい姿を、奴等は”粉を吹いたよう”などと無邪気に表現するのだ。とどまる所の知らない残虐性に恐怖すら覚える。奴等は血の通わない、感情の無い機械だ。

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同胞がジャーマンポテトにされてしまった。ベーコンから滲み出す底無しの油が、寸断された同胞の肉体を残らず侵食した。生魚のような照りを帯び、褐色味を増して軟化する死体から、肺を焼くような豚臭さが立ち上っていた。堪らず嘔吐した。おぞましい脂の塊と一緒に炒められるなど、常芋なら気が狂う。