@tsuburetaPotato

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同胞がスタンプにされてしまった。我々の中で特に輪郭が真円に近い者、数名を対象に”工作”は執行された。彼らは両断されたのち、断面をナイフで削られ、毒々しい塗料で汚染され、そして使用される。何度も画用紙に押し当てられ、食物としてのアイデンティティを破壊される屈辱は想像するに余りある。

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私の故郷に勇敢な戦士がいた。彼は過酷な鍛錬の末、可食部に高濃度のソラニンを蓄えた。自らの命と引き換えに奴等を毒殺しようとしたのだ。調理場へ向かう途中、彼は残された同胞に向けてこう告げた。「待っていろ。俺が必ず皆の仇を取る」その後、彼は電子レンジで加熱されすぎて爆発し、廃棄された。

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『こいつのせいで発芽できない』私の中でリンゴへの憎悪が肥大しつつあった。しかし今日、彼はカレーの具にされてしまった。磨り下ろされ、同胞と共に鍋の中へ消えた。邪魔者として扱ってきた彼が奴に殺されるのを見た瞬間、激しい慙愧の念に囚われた。我々と同じ、無力な被害者を私は憎んでいたのだ。

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我々は今、同一の袋でリンゴと一緒に保存されている。リンゴから発生するエチレンガスが我々の発芽を抑制しているのだ。命を奪われ続ける我々にとって、発芽は唯一の希望だった。未来へ繋がる光だった。しかし、それも奪われた。奴等への怒りで顔面が紅潮する。リンゴとの区別がつかなくなってしまう。

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村一番の大男が沸騰する鍋の中に沈められた。しかし彼は全く動じない。「この程度で死んでたまるか。他のもんとは体の鍛え方が違うんだよ」熱湯から生還した彼は、間髪容れず氷水に浸けられた。「むぅ!」彼は心臓麻痺で死亡し、その後、丸裸にされた。さすがの彼も内臓までは鍛えられなかったようだ。

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私の友人に大層な変わり者がいた。彼女は何故か体を磨り潰される事に強く憧れていた。素粒子レベルで分解され、均質に混ざり合ってから再構築され、そして平坦なペースト状になりたい――そう言いながら、裏ごし器の細かい網目の一つ一つに熱い視線を注いでいた。そんな彼女は先日、野菜炒めになった。

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奴が肉叩きで豚ロースを殴打している。肉の繊維をズタズタにしていく。私はあろうことか恐怖してしまった。あれほど奴等には憎悪以外抱くまいと誓ったのに。潰された肉がパン粉をまぶされ、油の中に消えた。次は彼の番だ。奴はトンカツのついでにコロッケを作るらしい。彼は”ついでに”潰されるのだ。

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日曜日の夕食、子供の好物であるカレーを作る家庭も多いのだろう。しかし、ここでカレーに使われるジャガイモの気持ちを考えて頂きたい。全身の皮膚を取り除かれ、剥き出しになった肌に各種スパイスが擦り込まれる。想像を絶する激痛、この世の地獄。カレーに溶けた彼らの怨嗟が貴方の体を蝕むだろう。

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同胞がビシソワーズにされてしまった。芯まで熱を通された死体がミキサーの中で跳ね回りながら砕かれていく。余りにむごたらしい光景だ。液状になった死体を目の当たりにして、涙と吐き気を抑えられなかった。同胞をミキサーにかけた張本人の鼻歌が残酷に響く。断言してもいい。奴等は気が狂っている。

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先日、私の古い友人が小学校でジャガイモ鉄砲にされ死亡した。輪切りにされ、透明な筒に押し込まれ、空気の力で遠くに飛ばされてしまった。とても幸せそうな表情で死んでいた。彼の夢は”空を飛ぶ事”だった。薄暗いキッチンの隅でまだ見ぬ青空への憧憬を毎日のように語っていた。願いは叶ったんだな。